「成功したオタク」感想


様々な努力のうえ、推しに認知される存在だった監督は
「成功したオタク」だったが、
推しが集団性暴行、性行為相手の了承なく動画を拡散する、
などの罪に問われ実刑判決を受ける。
苦しんだうえに彼女は同じファンの心情をインタビューした
ドキュメンタリー映画を撮影するというあらすじ。

推しをかばう派閥と、社会倫理順守派の、
血みどろの殴り合い、心を抉るような内ゲバ世界を想像していましたが
そうでもなかった。
というのも意見を述べる女性のほとんどが
倫理優先派で、女性にひどいことをするのは許せない、
という立場だったからです。
それが韓国の女性の倫理観の高さによるものか、
監督の選別なのかは分からない。
とりあえずインタビューされた女性たちは
「死んでほしい」
「刑が軽い」
「当然ファンはやめる」
というひとばかりでした。

日本でも、組織ぐるみの問題行動、
ジャニーズや宝塚、
あるいは2.5次元俳優の暴力事件、
松本人志さんの性暴力事件、
似たような事例が起こっていますが、
芸能のかたは一般人とは違う、被害に遭ったひとに隙があった、
被害に遭ったというのは本当なのか、ファンが支えなければ、
という考え方の人が意外に多くて、
「きちんと捜査を受け、有罪となったら罪を償わなければならない」
という考えのひとは多数派ではないように見える。日本は。

内容ばれ

被害を告白した人が死を選ぶまで叩きまくったり、
あるいは松本さんの「一日も早くお笑いがしたいです」
というSNSのポストに対して
現時点で88万のいいねがついているのを見て
いまって日本の人権教育は
どんな感じなんだろうと不安になっていたところなので、
スターがちゃんと逮捕されて実刑判決を受ける韓国のほうが
健全ではないかと思う。

でも推しが犯罪者になっても、
推していた時間や仲間が無になるわけではないし、
お宝1つ1つの思い出は消えない。
財産が消えるのとはわけが違うと思う。
ただ作中でも言われていたように
最初からそういう人だったのか、
人気が出てそういう人になってしまったのか、
つまり自分の支払ったお金が犯罪者を作る元になったのか、
についてはやはり考えてしまうだろうな。
生身の人間は推さない、二次元を推すぞ!と思っても
作者が犯罪に走る可能性がある。
常日頃から、どこまでなら許せるか、どうなったら見放すか、
考える習慣をつけておくのはいいと思います。
あと「今、自分は正常な判断ができる状態か」、
問いかける癖も。

しらふで話せるかよ!のシーンには共感したし
ヨーグルトマッコリってこうやって作るんだ…という学びがありました。
笑ったけど、長いでしょう一連のあのシーン(笑)

結末部分は若干優等生的だと感じた。
もっと荒れ狂ってもいいぞ!