「ダム・マネー ウォール街を狙え!」感想

2021年に騒動になった、ゲームストップ株の価格変動を映画化。
ポール・ダノ氏主演です。
「あの件、映画を見たら理解できるようになるかな…?」
くらいの熱量だったんですが、面白かったです。
ここ数年とくに、どの国でも
平民と上級国民の経済格差が酷くなった気がしますが、
そんな鬱…とした気分を吹っ飛ばしてくれるエンタテインメント寄りの内容でした。

世界レベルの成功者のルポを読んでいると
必ず登場するのがファンド関係の人々。
彼等が重要視するのは利益をもたらすユニコーン企業と
主に中東方面の大口投資家のみで、
個人投資家などはゴミカス以下なのだそうです(と書いてあった)。
成長する会社に寄生し、思う存分吸血し、
弱い企業を見つけると襲い掛かり肉を食らう。
天敵のいない頂点の生物です。
世界の富を独占する巨人を相手に
ごく普通の市井の人々が戦います。

ラストまでばれ

私はなんとなく多人数のチームがやったことだと思ってたのですが違って、
本当にキース・ギル1人が訴えかけたことが偶然に広がった、
奇跡的な現象だったのか。

やっぱりポール・ダノ氏演じる善良な人には圧倒的説得力がある。
おっとりとした人柄の描き方も良かったが、
故人の姉、弟、妻子などの周囲の人とのやりとりもよかった。
ゲイブ・プロトキンはセス・ローゲンでした。
WEBインタビューの直前にストレスでよれよれしている様子がかわいかった。
(セバスチャン・スタン氏はブルガリアからの移民でオンライン証券CEO役)
(デイン・デハーン氏はショップの店長だったのか!)

金があればなんでもできるなあ、と思ったのは
SNSによる情報共有を、サービスダウンにより分断したことと
買い付けの強制停止。
平民はゲームのルールを勝手に変えられながら戦わなければならない。

結果としてメルビンは大大大損害を出して潰れるんですけど。
ライオンとハイエナに譬えられてましたが
パワー的にはライオンとカメムシくらいの差があったと思う。
失業した人には申し訳ないけどスカッとしましたね…。
この件が「金融界のフランス革命」と言われるわけですよ…。

この件以降、ファンドはSNSを監視し、
派手な空売りも控えるようになったとのことです。
なんとなく猫のTシャツが欲しくなりました。