「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン 」感想

マーティン・スコセッシ監督
20世紀初頭、居留地から石油が出たオセージ族は、
世界一財産を持つ部族と言われるまでになる。
しかしオセージ族の人々が次々と怪死する事件が起こり…というあらすじ。
同名ノンフィクション小説の映像化。

「石油が出ないかなー」という冗談がありますが、
オセージ族は本当に石油が出た。
そのお金で豪華な邸宅や車を買い、
白人を召使いにした。
しかし彼らは富の呼ぶもの、
人間の嫉妬や欲望、二面性、暴力などについて、
知識がなかったので、
防御することができず、何が起こっているのかも分からないまま
沢山の人が亡くなった。

知識のない者こそが善であり純粋である、
という考えに私は賛同しかねます。
みんな知恵の実を食えるだけ食え…。
鞄にも詰めろ…。

ラストまでばれ
この時代の白人有色人種ものにしては珍しく、
目を覆うような暴力的差別は描かれない。
それは圧倒的にオセージ族のほうが立場が上だから。
しかしその鬱憤も一因ではないかという気もする。
相当多くの人間の協力がなければ
あんな連続殺人は成り立たないもんね。
あとオセージ族には
財産を管理する能力がないと決めつけ、
白人の後見人を必ずつけた、
あれは国家的差別で大きな過ち、
かつ事件の遠因だと思う。

監督とディカプリオは
愚かな人間たちをとても上手に描いた。
愚かなので、自分の考えというものが形成できないし、
何でも言いなり、目の前の感情がすべてで、
過去現在未来を関連付けた行動ができない。
残虐なことはできるが、
前から撃てという簡単な指示も守れない。
同じことを何度も言う。稚拙な言い訳をする。

しかし倫理観を欠いたorアホの人は
現実に沢山いる(わたくしを含め)ので、
私は理知的なヒーローが沢山出てくる話が好きですね…。
監督はたぶん現実がお好きなんだろう。

この大量殺人を暴いたのが、
FBIの前身の組織だが、采配したのはJエドガー。
かつてレオナルド・ディカプリオが演じましたけど、
これそのうちに全部つながって
ディカプリオバースになるのかもしれない、
いや嘘ですなりません。