「香水 香りの秘密と調香師の技」感想


ジャン・クロード・エレナ氏

エルメス初代調香師さんのエッセイを読みました。
私は嗅覚が鈍いので(視覚と聴覚もよくない。 
が、刺激に強いともいえる)、
鼻のいいひとの知覚する世界を
文章で表現してくださっているのがとても新鮮で良かった。

ジャスミンの香りをかいで、
イタリア産かエジプト産かグラース産か、
抽出は錫の容器か銅の容器かステンレスの容器か、
嗅ぎ分けられるヨ…って書いてて、
ミュータント能力やん…と思いました。
(錫の蒸発器はエレガントで、銅はふっくら、
ステンレスは金属的と書いてあった)

エレナ氏の美学では、
香水の処方とは匂いを重ねることではなく、
組み立てて構成していくことだと書いてあったのですが、
なるほど、砂や鉄をどーんとそのまま置くのではなく
組み立てて建物にする感じだな?っていうのは分かった。

ところで私はこのままいくと香りの好き嫌いはあっても
優れている優れていないは分からないまま一生を終えそうなので、
作者さんの書かれている優れた香りがどのようなものであるか、
彼の作品「庭シリーズ」に触れてみるのが早いと思いました。 
でもエルメスの香水とか、まったくお値段の見当もつかんなー。
バカ円安のせいで5万円とかするかしら?
ミニボトルはあるかしら?と調べてみたら、
予想よりわりと安くて、ミニボトルもありました。やったね。

味覚を例にとって説明されてましたが、 
MRIで観察をしたところ、
感覚をつかさどる脳は新しい刺激を反復すると発達するそうです。 
希望が持てる。

文中で、時代に取り残されない香りを創造するには、 
香り以外のほかのことから学ばなければだめだとおっしゃっていて、 
旅や哲学や人などを挙げておられたが、 
漫画や映画などで名を成した人も、同じことをよく言っておられますね。 
別ジャンルから学ばなくてはならないというような。