「恋と禁忌の述語論理(プレディケット)」感想


井上真偽さん

大学生の詠彦が、自分の遭遇した難事件と
名探偵たちの出した推理を
美しき天才数理論理学者の叔母に検証してもらうという話。

先日の殊能先生のお誕生日に
ハサミ男」と並べて称賛されている一文を見かけ、
ほう…ということは叙述…?と思い読んでみました。
第51回メフィスト賞だそうです。

ラストまでばれ

べつに叙述ではなかった。
各章に登場する名探偵たちがアニメ風にキャラクタの立った人たちだった。
作者さんはたぶん西尾維新さんがとてもお好きなんじゃないかな。

数理論理学がどういう学問か、
薄ぼんやりと分かるのはよいなと思いました。
ただ、推理に使用するにはリアルの不確定要素が多すぎなので
主人公の詠彦さんが世界のすべてを把握していると一旦仮定するのは
実は苦肉の策なのかも。

美しき叔母の硯さん、
欧州の研究機関と企業で一定期間暮らしていたにしては
性加害について無頓着すぎるというか
まあそれはフランス感覚なんだよ!という設定なのかもだけど、
そうすると生涯恋愛現役のフランスっぽくなく20代女性への敵愾心バリバリで、
まるで日本のアニメキャラクタみたいにエイジズムまるだしなのは気になりました。
近年、女性キャラクタ描写の違和感がすべて伏線だったミステリーを読んだので
どうしても比べてしまう。