ウィキッド・セレブレーション

USJでは2025年、期間限定でウィキッド・セレブレーションを開催しています。
ところでこのグリーティング、サイトを見ても、公式アプリでも開始時刻が分からない。



現地スタッフさん、インフォメーションに質問しても「スケジュールは教えられない。1日に何回かもわからない」という回答で、「パーク内の音楽がwickedの歌に変わったら走ってください」という無茶なヒントをいただきました。
それで「狙われた仮面舞踏会」が終了してフラフラ歩いていたら突然「Defying Gravity」が流れて、そこから走りました。開始15分くらい前の合図だったようです。場所はハリドリの出口付近、ウィキッドの衣装展示の前あたりです。

 

エルファバは、写真を撮るときに映画のあのダンスのポーズをしてくれるのですが、一緒に写る人はピースをしている人が多かったので、今後エルファバと写真を撮る予定のひとはぜひ同じポーズをしてあげてください。でないと悲しい…映画の内容的に。

「狙われた仮面舞踏会」


東野圭吾さんのマスカレードシリーズが、USJでアトラクションになると聞いて行ってきた。
ホテル・コルテシアが舞台で新田さんや山岸さんが出てきます。
ホテルで開催されるマーダーミステリーに参加するべく会場に行った私は、奇妙な映像を目撃する。それをきっかけに、潜入捜査中だった警察の人々が正体を明かし、実際の事件に巻き込まれていく…というあらすじ。


下記あまりほめてない感想

残念ながら私には合わなかった。もうUSJのミステリイベント、今後は様子見するわ…というくらいには。まず料金が8500円~変動なのだが、映画4本分のボリュームがあるようには到底思えなかった。5000円が食事代だとしても、それでも映画2本分の娯楽はなかった。

得られる情報が少なすぎる。捜査パートは証言を3回聞くだけ。しかも集まるのがWhy done it系の情報多めで段々嫌な予感がした。Why done it系ミステリは参加型ゲームと相性がよくないと思います。

参加者全員の多数決で犯人を決めるシステムなので、真エンドを見るのが非常に困難、かつ途中に無駄な投票集計があって時間がもったいない。

同様のテーマパーク内の没入型ミステリイベント「豪華列車はミステリーを乗せて」「ザ・シャーロック」と比較すると満足感が低い。参加人数を200名にするならもっとスタッフを増やすべきだし、あのスタッフで回すなら参加人数を50名くらいに絞るべき。ちょっと利益率を欲張りすぎたのではないか…。

私の参加した回はバッドエンドで会場全体から「えー……」という声が上がった。悔しいとかそういう感じではなかった。私はあのチケット代でこんなしょぼい内容の訳がないから、もう1幕絶対にあるよ!と自信満々で友達に断言したよ…。なかったよ。「終わったから出てね」ってアナウンスがあって「まじか!」って声出たよ。

褒める箇所は、お料理がおいしかった。さすが高級ホテルコルテシア(という設定)。
でもフードのほうは始まってすぐに並ばないと、食べる時間がなくなるほどの長蛇の列よ。
前菜のプレートは並ばず取れます。
お酒が飲み放題だったので、赤ワイン、白ワイン、スパークリングワインを飲んだ。
どれか1杯だけ飲むならスパークリングワインが良いです。
こんなことなら酒を10杯くらい飲めばよかった!ギー!

 

テーマパークのこの系統のアトラクション、脚本家・演出家の名前がいつも出ないのだが、明記するようにしてくれないだろうか。だって映画や小説で事前に作者や監督の名前が分からないのってあり得ないもの。

 

余田爽邸


ずっと行ってみたかった山口県の余田爽邸に行ってきました。
明治の手妻師の晩年の邸宅なのですが、意匠が悪趣味すぎることから近隣では「きち●い御殿」と呼ばれているらしい強烈な建物です。
横溝正史の「幽霊男」や、大林宣彦監督「HOUSE」に登場する建物のモデルになりました。
放置されて荒廃していた時期が20年ほどあって、そのあと有志によるクラウドファンディングで蘇りました。残念ながら写真撮影不可。見学は抽選です。

全体としては和洋折衷のお屋敷なのですが、特筆すべきは各部屋の装飾です。全室ステンドグラスの窓。そして部屋ごとに水痘、性病、天然痘、麻疹、というようなテーマがあり、壁一面に発疹の細工がされています。しかも絵ではなく、漆喰による立体彩色。そこにステンドグラスを通した夕陽などが当たるとそれはもう地獄のような眺めでした。写真を撮りたすぎて血の涙を流した!グワー!

ところで長年行きたいと言ってきたところに行きまくっているので「どうかされましたか?ご健康ですか?」と心配いただいたのですが、大丈夫、病気ではないですよ。

というか今日の日記は嘘です。4月1日でしたピッピロピー!
(病気じゃないのは本当です)

 

鯛よし百番2

鯛よし百番ですが、喜多八の間、潮来の間、千代の間、由良の間、淀の間、紫式部の間など、様々な趣向の部屋がありました。遊郭時代は女性がその部屋で客をとっていたようです。
例えば船底や櫂があしらわれていたり、石山寺の意匠が取り入れられていたり、部屋の中が屋形船を模していたり、井戸があったり、四十七士の紋があったり。

すべて合わせると1つのモチーフが分かるとか、そういう趣向かと思ったんですが、そうでもなかった。
1階の牡丹の間、鳳凰の間、紫苑の間は、元々はオーナーの部屋だったそう。

隣の洋風建築っぽい建物、ずっと関係ないビルだと思っていたけど、実はここも鯛よし百番で、中身は木造建築で前面だけ洋風っぽくモルタルなどで覆って細工した「看板建築」といって、当時流行の技法だったらしい。

あとこの屋根の合わせ目に下がっている平たい細工物、「懸魚(けぎょ)」といって、火事よけのお守りらしい。知らなかった。

 

「ミッキー17」感想


ポン・ジュノ監督
エドワード・アシュトン「ミッキー7」の映画化。
借金のために命を狙われているミッキーは、取立人から逃げるために他惑星への移住計画に志願し、契約書もよく読まずにサインしてしまう。彼が移住に参加する条件は、非人道的で危険な業務に従事し、死ぬたびに肉体と記憶を再生するというものだった…というあらすじ。

 

単一ではない雑多な味がします。まず残虐だけどユーモアもある豊潤な人体損壊、社会的弱者であるミッキーの被虐描写。メインの筋には関係ない複数のサイコパス。人間の性の悪さと善性。ナウシカ。スーパースーパーダーリンのヒロイン。自分×自分。トランプ大統領。悪は処されたり処されなかったり。ゆるく、ほどほどの勧善懲悪。これらが猛スピードで走ります。心地よい起承転結。私は好きなので、私と好みの似た人、特に悪趣味と残虐への耐性が強い人にすすめます。

 

注意。嘔吐があります。

 

ラストまでばれ

18がいつ、どういうきっかけで17を救おうと思ったのか、自分を愛そうと決めたのか、1つの出来事としては描かれていないので、映画が終わってからも考え込んでしまう。ボタンのところだろうか。いや、もっと前だな。
ミッキーの運命を決める赤いボタンは作中に3つ登場する。子供の頃のトラウマのボタン。自分を殺すかもしれないボタン。そして今後は権利を侵害されないためのボタン。

 

ミッキーは生来のものか、あるいは事故のせいか、または生育環境のためか、降りかかる災難を回避する知恵がない。(ひとむかし前の日本の流行のヒロイン像みたいだな…と思ってた。白くて美しいが受動的で不幸に対して無力。救済者を一心に崇拝し、献身的)
SFホラーやサスペンスで、頻繁に「契約書の豆字を全部読みなよ…」って思いますが今回のは酷かった。どのミッキーも気の毒だったけど、プリントアウトされたミッキーをスライドさせるローラーコンベアの設置忘れが地味に酷かった。
人体損壊、人並みに好きです。なのであらすじ上必要なやつは「ビジネス損壊だな。がんばれ」と思うし、過激な作品をつくってやったぜという自己満足のための損壊は「公害だな」と思いながら見てます。でも損壊の造形にこだわった損壊や、キャラクターの構築に必要な損壊は目を七色に光らせて見ています。この映画は後者です。

 

この映画、微妙に見逃されている悪があって、まず薬物が絶対悪としては描かれていないのとあとミッキーの窮状をそもそも招いた幼馴染の密売人がちゃっかり再起している。あと人間が苦しみながら切断されるところを見るために金貸しをやっている大金持ちは、相変わらず切断を楽しんでいるだろう。この移住計画のおそらくスポンサーであろう宗教団体は責任者のケネス元大統領=トランプ大統領(支持者が赤い帽子をかぶっている)を別の人間に挿げ替えて移住布教計画を続行している。なんかほどほどにゆるくて味がある。

 

この世の中には、なるべく大勢が全員少しずつ不自由しながら共存したい派と、奪われる前に奪え!強い者が取るのは当然!派と、あと圧倒的多数のどっちでもいい派がいて、左右にぐらぐらしながらバランスをとっているのが人間世界なのだなと思った。
この映画には、大胆な行動は起こさないが善意がないではないナード勢の男女がでてきてバランスを変える一因になってた。

最後、デザートのシャーベットみたいなノリで幽霊(の夢)を出してくるのは面白い。東洋的な、死因をアピールしてくる(手首を切った)霊で私は嬉しかったが、他の観客はどうだったろう。

 

まったく関係ないけどニフルヘイム(ニブルヘイム)で7と言えばFFですね。

 

類似作品について(類似作品内容のねたばれになります)
この映画とほぼ同一メインプロットのSF映画に2009年ダンカン・ジョーンズ監督の「月に囚われた男」があります。月で資源採掘の仕事をしている男が、もうすぐ契約期間が終了し、妻と娘に会えるのを楽しみにしている。しかし徐々に体調が悪くなってきて、そうこうするうちに自分に瓜二つの男が現れ、記憶も同一で…というあらすじです。「ミッキー7」がこの映画に全く影響を受けずに書かれたとは考えにくいけどな…?とは思う。
まあそれはともかく「月に囚われた男」はSFサスペンスとして純度が高く優れた作品です。おすすめ。

 

色々感想

だんドーン(モーニング掲載)
岡田以蔵登場。天真爛漫なサイコパスという設定になったようです。田中 新兵衛が金のために淡々と人を殺すタイプの人斬りなので差別化されてますね。それにしてもこんなにたくさん性格異常者が出てきてキャラかぶりがないのはすごい。猿の文吉殺し、肛門に竹の棒、尿道に竹串(釘)を刺されてたんですね…。

ブルーピリオド(アフタヌーン掲載)
鑑賞者が食べることで完結する芸術作品って儀式的ですね。しかしこれだと毒物の混入が可能なので、相当気を付けて警備しないとだ。

魔法使いの約束(最終回)
うーん、刀剣乱舞みたいに1本メインの筋があったほうがいいような気もしたが、別に未プレイ勢に向けて作られてる訳じゃないならこれでいいのかも。

建築について

たぶん比較するとぶっ飛ばされると思いますが、数寄屋建築の傑作と、遊郭置屋を交互に見学していると、頭の中で自動分類されて、夜の歓楽のための建築物は閉じていて、内側だけで完結した人工的な仕掛けや美を追求するんだなー、と思いました。 
遊郭は入り口近くに橋が作られている建物が多いそうですが、ここからはワクワクする別世界ですよ、というサインなのだそうです。そこに外界の自然を取り入れると、風景にタグ付けられた過去や家族のことが思い出されて、人間を買うという行為にマッチしないんでしょうね。 桂離宮などは (総工費や職人や設計思想などレベルが違いすぎて比べると処されそうですが)ものすごく人工的に、偏執的なほど、あらゆる自然を取り込もうとしていた。面白い違いです。