里中守原画展

ずっと、ずーっと大好きな同人作家さんで、 
すべての同人誌を買っていて、 
作品を読むためにゲームをするくらい(FE…)で、
エッセイで描かれた旅行先も回ったりするほど
(バリ島や香港や英国、越後湯沢、八甲田山…)ファンだったのですが、
3年前の5月26日に突然亡くなられた、
「突貫工事!おぢろう組っ」里中守さんの原画展が
中崎町であったので行ってきました。

私はこの作家さんに本当に影響を受けました。 
詩情溢れるシリアスと、
何を食べてたらこんなこと思いつくのだ?というコメディが
1人の人間の中で矛盾なく存在していたところが好きでした
(両者の共通点は優れた言語感覚と、湿度の低さだと今になって思い至ります)。 

会場はゆかりの作家さんやファンの皆から贈られたお花でいっぱいで、 
花畑のような匂いが外まで漂っていました。 
私とお友達も里中さんがお好きだった薔薇を贈りましたが、 
最後に喜んでいただけているといいなと思います。 

展示のカラー原稿は、里中さんの思い切りの良さが表れていてにっこりした
(迷いがあったら、アナログであんな風に美しく色を滲ませることはできないと思う)。 
私はカラー原稿よりもむしろモノクロ原稿の、
印刷への再現率が低いように感じられて、来てよかったと思った。 
強い線に合わせて印刷すると弱い線がでないからか、
印象よりずっと繊細な原画だった。 
再録本とキーホルダーを無事に買えてほっとしました。

再録本はどれも懐かしいお話で、
ローマのレストランのエッセイは半分暗記しているくらい。
思えばエッセイ漫画を読んで
「旅行に行って、ちゃんとしたレストランに行くと
こういう風に食べ物が出てくるのか…
ワインとかも飲んで、クー!格好いい!」
という、「気ままに生きる女」のロールモデルになってくださった気がします。
へうがさんの漫画では相変わらず里中さんが(霊として)喋っておられて、
里中さんの描かれた生者と死者の交流の作品があって、得も言われず味わい深かった…。

思わず「ワー!」って言ってしまったのは、
このカラー原稿でした。 


常に本棚の前列にあるので何十年もむかしの本がスッと出てきてしまうのですが、 
なんとなくクラフトアート風だなあ…と思っていたのが、
本当に紙を貼って重ねた物理的に分厚い原稿で、 
まさか2024年に現物を見られるとは…でした。 

この原画展の主催者であり里中さんの生涯の相棒へうがさん 
(開催ありがとうございました)や、 
エッセイ漫画に登場なさるのですっかりお馴染みの友人作家さんたちに支えられた、
いい原画展でした。
亡くなるには早すぎると今でも思っていますが、
これからも里中さんの作品の魅力は私の中で褪せることはなく、 
ずっとずっとファンです。